2012年3月21日 (水)

シャーロック・ホームズ シャドウゲームで歴史のお勉強

子供にせがまれ、「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」を観に行きました。ロバート・ダウニーJr.とジュード・ロウがホームズとワトソンを演じるシリーズの第2作です。




以下にストーリーに関する記述がありますのでご注意下さい。

Holmes1

今回は、原作でも最大のライバルとして描かれている、モリアーティ教授との対決です。

Holmes2

前作同様、派手なアクションと当時のヨーロッパを再現した映像で中々面白かったです。とは言え、いろんな人も言っているように、別にこれってホームズとワトソンの話しにしなくてもいいんじゃないの?というのはどこかにあります。まあそれを言ったら身も蓋もなくなるのですが・・・
結局は、ホームズとワトソンという魅力的なキャラクターを借りるということと、19世紀末という時代を借りたかったんだろうな、ということになるのですが。

そういえばホームズの時代ってどんな時代だっけ?イメージとしては、産業革命が進展して巨大都市になったロンドンで、スモッグやら貧困層が出てきたりというそういう漠然としたイメージしかありませんでした。

元々シャーロック・ホームズと言えば、昔NHKでやっていたイギリス、グラナダテレビの「シャーロック・ホームズの冒険」がその時代考証も含め最高の映像だと思っています。ジェレミー・ブレット演じるホームズの人物造形も最高で露口茂さんの吹き替えも名調子でした。

そのテレビでもやはり基本はイギリス、しかもロンドンがベースにあります。

ちょっとこの時代を備忘録程度に整理してみることに(^^)

この19世紀末の歴史はいわゆる「帝国主義の成立」としてタイトルづけされる時代ですね。

1866年 普墺戦争でプロイセン勝利、1867年北ドイツ連邦成立
1870年 普仏戦争でナポレオン3世を破り、1871年ドイツ帝国成立
ここは、ビスマルクの活躍した時代ということですね。ドイツが歴史の全面に大きく出てきた時代です。

1873年 フランスの復讐を恐れ三帝同盟を締結(ドイツ、オーストリア、ロシア)。その後、バルカン半島をめぐる利害対立により、一旦事実上の解消へ。
1882年 三国同盟(ドイツ、オーストリア、イタリア)の締結。三帝協商(もとの三帝同盟)と並び、ビスマルク外交の柱となる。

そう、まさにビスマルクを筆頭とした外交の時代だったのですね。

その後、アフリカやインドシナにおける植民地支配の進展。1900年頃までにはアフリカのほとんが植民地化される。ホームズの物語にも、植民地支配を背景にしたストーリーがいろいろあります。

1890年 ビスマルクの失脚

そしてシャーロック・ホームズがベーカー街でワトソンと共同生活を始めたのが1881年、モリアーティ教授と死闘を演じたのが1891年です(笑)。もちろんこれは物語の中ですが、モリアーティ教授が暗躍する素地にはビスマルク引退後の不安定なヨーロッパが背景にあるわけですね。


さてさて日本はというと、まさに「坂の上の雲」の時代。明治になったのが1868年、そして日清戦争が始まったのが1884年と、ヨーロッパの帝国主義が進展していたまさにその時に、日本も列強の仲間入りすべく富国強兵の道を邁進していたわけですね。ホームズが活躍したのもだいたいそんな時代ということです。それにしても濃い時代です。もう10年遅かったら日本も・・・と思います。




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2012年3月12日 (月)

観たかった映画・DVDやっと見たよシリーズ〜ザ・ファイター

このブログでも書かせていただきました「八日目の蝉」が日本アカデミー賞を受賞しました!パチパチパチ、おめでとうございます。総なめとはこのことと言わんばかりの圧勝でしたね(「助演男優賞が「冷たい熱帯魚」のでんでんさんというのも納得ですが・・・)。前の「ディア・ドクター」の時もそうでしたが、こんなブログでも、書かせていただいた作品が受賞するととても嬉しいです。

今回は、アメリカのアカデミー賞で、助演男優、助演女優という2部門で受賞した作品「ザ・ファイター」(The Fighter)です。これも映画でみたかったのをようやくDVDで見、それから受賞が決まってとても嬉しかった作品です。
以下にストーリーに関する記述がありますのでご注意下さい。


これは実話に基づくストーリです。実在のプロボクサー、ミッキー・ウォードと彼の兄、ディッキー・エクランドの話です。どん底から立ち上がりチャンピオンベルトをかけた試合に臨み・・・というまさに物語のような、しかし本当の話です。

貧しい家庭に生まれ、ボクシングの才能を開花させたにも関わらず、一度は引退同然の生活をしていたミッキー(マーク・ウォールバーグが好演!)。問題は彼自身というより、家族という最も身近な存在でした。全てを自分の意のままに操ろうとする母親(ある意味、ブラック・スワンの母親ともどこか似た・・・)、そして一番の問題は、やはりボクサーとしての才能があったにもかかわらず、麻薬に溺れ、刑務所を出たり入ったりしている兄の存在でした。

そんな家族に嫌気がさし、一旦は家族から離れ、兄のトレーナーを断り、独自の道を歩もうとしたミッキーでしたが、やはり、兄の存在の重要性に気づき、そして兄も弟をなんとか勝たせたいという一心で立ち直ろうとします。

この問題大きアニキを、「バットマン」でおなじみのクリスチャン・ベールが好演というか怪演してみせます。激やせし、髪の毛を抜き、歯まで抜いて熱演して見せました。クリスチャン。ベールと言えば、「マシニスト」でやはり極限までやせて(本当に骸骨なみ!)何日も寝ていない男を演じ、そしてバットマンの撮影のために直ぐに今度は筋肉隆々になるという、いやはや凄まじい体のコントロールをしてみせたこともありました。本当にハリウッドのスター達の体のコントロールは凄いものがあります。もちろん医師のコントロールのもとでやっているのでしょうが、その肉体に対する負担は決していいものではないでしょう!いや、とにかくそこまで体を作って(笑)演じたこの役は、本当に見応えがありました。

Fighter1


そしてもう一人、やはり助演女優賞を母親役で取った、メリッサ・レオの演技もこの作品の見所です。自分のことしか考えていないような身勝手な母親、そして貧困の匂いがつきまとう・・・といういやな女の役を過不足無く演じていました。
このブログでも書きましたが、「フローズンリバー」という映画で、今のアメリカの荒涼とした現実、そしてその現実に翻弄されながらも自分の力でなんとか立ち向かおうとする、やはり母親の役を演じてしました。その前の「21グラム」でも好演しており、渋い役者さんとは思ってましたが、この作品で見事受賞したことは本当に喜ばしいです。

Fighter2


それにしても、この家族には姉さんたちがたくさん(何人いるかわからんくらい)軍団でいて、またこいつらときたら・・・という感じで絶対お近づきになりたくない感じなんですが、この人達(役者さんなんだけど)にも助演・助演団体女優賞を個人的にはっしあげたいくらいです(笑)
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こいつら(笑)ね!(実話に基づく、というところで一番ぞっとしたところです)


Machinist_2
いちおう「マシニスト」の写真も貼っとこう

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2012年2月28日 (火)

角田光代さんを続けて読む〜対岸の彼女

前回のエントリーで、角田光代さん原作の映画「八日目の蝉」のことを書きました。会社でその映画について話したりしてたら、同僚の女性から角田さんならまずこれを読んだら、と推薦されたのが「対岸の彼女」です。


以下ストーリーに関する記述がありますので、ご注意下さい。




この作品は、平成16年の直木賞受賞作でもあります。


35歳の同じ歳の二人の女性が出会います。
一人は、子育てにも疲れ、お姑さんの嫌みにもめげ、旦那の空気を読まない物言いにも心をすり減らす毎日を送っている女性、小夜子。大学卒業後、映画の配給会社で働いていた彼女は、今の夫から求婚された時、仕事を辞めて専業主婦の道を選びます。女子社員と契約社員達の間のややこしい人間関係に疲れていたというのが理由の一つです。
しかし、子育てをしていても、公園の他の母親達との人間関係にも疲れ、もう一度働こうと思い、求人誌を頼りに求職活動をします。
そして採用された会社の社長が、もう一人の女性、葵です。
彼女はいわゆるベンチャー企業を立ち上げた女社長で、自分が学生時代に海外を一人旅していた時の経験をもとに、小さな旅行会社を経営しています。
しかし、それだけでは行き詰まり、ハウスクリーニングの部門を作ろうと思い、小夜子をそこの責任者になってもらうべく、採用したのでした。

小夜子と葵は、同じ大学の卒業だったこともあり、うまが合うかに思えた滑り出しだったのですが・・・

物語は、現在の小夜子と葵の話し、そして高校生時代の葵とその友達、ナナコとのストーリーが交互に語られる形ですすみます。これも、「八日目の蝉」の構造と似た形式です(もっとも「八日目の蝉」は映画しかしらないのですが)。
「八日目の蝉」は小豆島という「終着点」に向かって、二つの時代のストーリーがパラレルで進みますが、「対岸の彼女」では、二組の友達(葵が共通の人物ということになるのですが)がそれぞれの行き着く先に向かって進んでいきます。そして二つのストーリーは別々の結末を迎えるのですが・・・

この本を薦めてくれた彼女は、「女に友情が成立するか」という話しですよ、と言ってくれましたが、まさにそれがこの本を一言でいうことになります。

面白いのは、高校生時代の葵と、経営者である葵のギャップです。いくつかこの「二人の」葵を繋ぐエピソードはあるのですが、まるで別人に思えます。そのギャップがこの葵の歩んできた人生の長さと深さ、そして今、小夜子と出会ってからの葵の言動にも複雑な陰影を与えます。

高校生の葵とナナコはもう二度と会えないという予感を感じながらも、19の誕生日にプラチナのリングを贈り合おうという何とも儚い約束をします。そして自分が立ち上げた会社の名前がプラチナ・プラネットです。そう、「八日目の蝉」のストーリーの収束が小豆島という場所だったのに対し、この物語では「プラチナ」がその二つのストーリーの結節点となっているのです。最初「プラチナ・プラネット」とはまたベタな社名をつけたものだなと思っていたのですが、そんな泣かせる裏のストーリーがあった訳です・・・

いやー、35歳で、ちょっと疲れた時(女性とは限らなくても)読むと、もっていかれそうな(笑)話しでした。あ、ちゃんと癒し的な部分もありますが!


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2012年2月19日 (日)

観たかった映画・DVDやっと見たよシリーズ〜八日目の蝉

今回は久々の邦画「八日目の蝉」です。

日本の映画も大好きなのですがこのブログで書くのは久しぶりかもしれません。



以下ストーリーに関する記述がありますのでご注意下さい。






角田光代さんの原作です。
不倫相手の赤ん坊を、自分が子供を産めなくなった絶望感から誘拐してしまう女性、希和子を永作博美が熱演しています。その誘拐された子、恵理菜は4歳まで希和子に自分の娘として育てられるのですが、ふとしたことから逃亡先がばれて逮捕され、恵理菜は実の家族の元に帰ることができます。しかし、本来の家族に慣れることがなかなかできず、結局その家族も実質的には崩壊してしまいます。
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その後、恵理菜は女子大生になっているのですが(井上真央)、恵理菜も不倫相手の子供を身ごもることになります。

恵理菜のもとには、当時の事件のことを書きたいというライター(小池栄子)が現れるのですが、そのライターは実はかつて恵理菜が逃亡中に身を隠していた女性だけのカルト的集団(そのリーダー、エンゼルさんを余貴美子が怪演、ほとんど出オチ!)にいた少し年上の女の子だったことが明らかにされます。そして二人で、その逃亡先を訪ね回ることになり、最後に逮捕されるまでいた小豆島までたどり着きます。そしてそこで、逮捕直前に恵理菜と二人で撮った写真が・・・
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逃亡中のシーンと現在のシーンが交互に出てくるのですが、最後の時を過ごした小豆島に向かって全てが進んでいく構造になっています。
普通の感覚では、身勝手な誘拐〜逃亡を行ったあげく、少女とその家族の人生を大きく狂わせた希和子に全ての非はあるのですが、希和子と恵理菜の生活する日々を見せることで、偽りの家族とはいえそこにある「愛」を描くことで、家族とは何かを考えさせてくれます。

というのが当たり障りのない感想ということになりますが、角田さんの描くこの家族に「男」は不在、もしくはどうしようもないものとして出てきます。そもそもの不倫相手(田中哲司が好演!)もいい加減な付き合いを続けたうえ希和子が追い込まれるきっかけを作るわけですし、恵理菜の不倫相手もどうしようもない男です(これも劇団ひとりが、まさに適役という感じで好演してました!)。まあ、不倫であれなんであれ、男女関係は男と女のそれぞれ自己責任なのですが、角田さんの描く世界では、「家族」の物語はあくまでも「母と娘」の物語として描かれます・・・
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それにしても、永作博美さん、うまいよね!この人が演ずると、若い男を手玉に取る小悪魔も(「人のセックスを笑うな」)、微妙な兄妹の関係に翻弄されるどんくさい兄嫁も(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」)でも、まさに「そんな女いそうだな・・・」と思わせてくれるような演技を見せてくれます。今回も、子供が産めなくなったあげく赤ん坊を誘拐し、カルトに身を寄せたりして逃げていく女を、「あーこの女、こんなことしそうだな」と思わせる演技で見せてくれました。

まだまだ、いろんな役柄を演じて楽しませて欲しいです!


八日目の蝉を加え、永作博美3部作としよう(笑)

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2012年2月13日 (月)

さよならホイットニー、そして安らかに

古いブルースとかソウルをよく聞いている人間にとって、好きなアーチストの訃報とはどうしても向き合わなくてはならないことが多いです。雑誌のBLUES&SOULとかもよく訃報が載っています・・・

このブログでも、過去にソロモン・バークの訃報や、最近ではコーネル・デュプリーの訃報についてエントリーしました。

でも今回はちょっときついね・・・ホイットニー・ヒューストン。
やはりまだ48歳という若さもありますし、過去の栄光の象徴であるグラミー賞の前日、出席のため滞在していたホテルでというのも悲しすぎます。

ホイットニー・ヒューストンは特に大ファンとか追っかけてた訳ではありません。もちろん、「ボディガード」は封切りで見に行ったのですが、普段ソウルとかほとんど聞かないうちの妻がCDを買ってきたことがあるくらいで、むしろ「メジャー」すぎてこれまであまりちゃんと聞かなかったくらいです。これが、ちょっと半可通の「ブラックミュージックファン」の悪いところで、メジャーなものを敬遠する(マーヴィン・ゲイですら若いときはちょっと距離を置いてしまってました・・・)癖があります。でも家内の例がまさにいいところで、むしろソウルとかなんとかそんな狭いところを突破してこそのホイットニーの人気であり、実力であったわけです。

「ボディガード」には思い出があり、「I will always love you」が大ヒットした訳ですが、実はあの曲はカバーで、カントリーの名曲です(ドリー・パートンのオリジナルです)。映画の中では多分前半、まだスターとボディガードという関係でぎくしゃくしていた二人がたまたまか、もしくは彼の行きつけか忘れましたが、小さなレストランだかバーで、ジュークボックスからこの曲が流れます(しんみりした男性の歌声でした)。悲しいカウボーイの曲だねという会話をしながら踊る二人、そして後半で見事にソウルバラードに編曲されたこの曲をホイットニーが歌うということで、曲そのものがまさに重要な演出要素となってます。

(なんとYouTubeにその歌があがってました!)

カントリーとソウルというと、なんか水と油のようですが、カントリーのオリジナルをソウルに編曲して歌うということは他にもあり、ソウルではありませんが、大好きなブルースシンガーのリトル・ミルトンが代表アルバム「Blues' N Soul(素晴らしいアルバムタイトル!)」で歌う「Behind Closed Door」もカントリーをまさにソウルフルに熱唱していて、そのことを思いながら映画を観ていた記憶があります。

今朝も繰り返し流れてましたが、この「I will always love you」も名曲ですが、1991年のスーパーボウルの開会式で彼女が歌ったアメリカ国歌は、これまでのベスト(開会式での歌われたアメリカ国歌の)と言われています。確かに聞き返して、その凄さがわかります。トルクフルとでも言えそうな中音域のタメ、そしてシャウトからまさにシルキーな裏声に駆け上がる高音域の艶やかさ!そしてすべてが「コントロール」されている凄さ、そしてそれに乗せて解き放たれるエモーション!歌を歌うとはこういうことか!と思わせられます。



彼女はお母さんも一流のソウルシンガーで従兄弟がディオンヌ・ワーウィック(!)という音楽家系でゴスペルのバックグラウンドももつ、まさにメインストリームの「ソウルシンガー」ですが、まさにこの歌を聞くと「歌姫」の呼称にふさわしいと言えましょう。(ビヨンセなんかもこのゴスペルのバックグラウンドがちゃんとあります)


ああ、しかし1991年の2月だったんだ!この年はまさに湾岸戦争の真ただ中で、1月には砂漠の嵐作戦が行われたそのタイミング・・・国威発揚といえばそれまでなのですが、当時のアメリカ国民がどのような思い出このホイットニーの声を聞いていたのか・・・だからこそ逆にこういう形でホイットニーを失ったアメリカの人達の気持ちはいかばかりか・・・

どうぞ安らかに、R.I.P (Rest in Peace) from Tokyo.


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2012年2月 7日 (火)

観たかった映画・DVDやっと見たよシリーズ〜ゴーストライター

さて、今回はめずらしく「新作」のDVDから、「ゴーストライター」(Ghost Writer)です。

以下にストーリーに関する記述がありますのでご留意下さい。
ユアン・マクレガー演ずるイギリス人のライターが、元英国首相アダム・ラング(ピアーズ・ブロスナンがなかなかのはまり役)の自叙伝をゴーストライターとして書く仕事を依頼されるところから、話しは始まります。

アメリカに飛び、東海岸の孤島にフェリーで渡り、ものものしい警備に守られているラングの滞在先で仕事を始めます。

しかし、実はその仕事には前任者(長年首相の元で働いた補佐官)がいて、彼はフェリーから落ちて死亡しているという事実もあります。これも事故か、自殺かわからない状態です。
しかも、ちょうどこの仕事を始めると同時に、イスラム過激派の容疑者としてアラブ系英国人を誘拐し、CIAに引き渡し拷問の末死なしてしまったという事実に加担したという嫌疑で、ラングは国際刑事裁判所から起訴直前という状態になります。
さらに、前任者の荷物の中から、古い新聞記事が出てきて、ラングから聞いた経歴に微妙な齟齬があることもわかってきます・・・

Ghostw1

ということで、カフカの「城」まではいきませんが、島に象徴されるストーリーそのものが迷宮のようになり、真実に中々近づけない状態が展開されます。こういうハナシは結構大好物です!

渋い役者達が周りを固め、重厚さとウイットが折り重なり、映画の面白さにあふれます。

ストーリーはCIAというかアメリカという国家そのものの不気味さと傲慢さを描きながらラストに突入するのですが、そのラストはちょっと・・・という感じでした。

あれだけ、うまく危機を乗り越えたにもかかわらず、折角掴んだ秘密の暴露の仕方もちょっと杜撰だし、終わり方もねえ・・・という感じなのですが、まあそれを補ってもあまりある展開の面白さでした。

それにしても、ロマン・ポランスキー監督の作品見るのって「戦場のピアニスト」以来???

Ghostw2
ピアーズ・ブロスナンが007ならぬ元首相として活躍(笑い)

Ghost_writer3
個人的には首相夫人役の、オリヴィア・ウィリアムズが気になりました。でも日本人好みじゃないかもなあ・・・

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2012年1月20日 (金)

観たかった映画・DVDやっとみたよシリーズ〜「ブラック・スワン」

今日は劇場公開で絶対観たかったのに見逃し、DVDが出てもずっと見ていなかった作品についてです。

そう、「ブラック・スワン」(Black Swan)です。
以下にストーリーに関する記述がありますのでご注意下さい。



これは、もうなんと言っても、アカデミー賞主演女優賞に輝く、ナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技に尽きる訳で、これについてはもうあまりにもあちこちで書かれています。
確かに、「出オチ?」と思うくらい、色気も、いや水気や油気さえない、パサパサの姿で(実際凄いダイエットをしたらしいですが・・・)最初出てきます。
その座を奪われた元プリマ(嗚呼、ウィノナ・ライダーがあまりにはまりでちょっと胸が痛くなりましたが・・・)、がニナ(ナタリー・ポートマン)に「不感症の小娘」と毒ずくシーンがあるのですが、まさにその通り「パサパサ」です。そして娘を思いのままにしようとする母親のもとでますますヒリヒリした生活をしています。
そして、白鳥の湖の主役の座を折角射止めたにもかかわらず、監督(ヴァンサン・カッセル)の厳しい要求に苦しみ、自分を追い込み、精神に異常をきたしていく様が、これでもかというくらいに描かれています。

そしていよいよ初日を迎えるのですが、発作的に殺してしまったと思ったライバルのリリー(ミラ・クニス、好演!)の死体が消えてしまった時には、さすがに「そうきたか!」という感じでゾッとしました・・・・

これは、シロウトながらに、いわゆる統合失調症ってやつかなと思い、高名な精神科医である高校の同窓生に聞いてみたのですが(彼には「ソーシャル・ネットワーク」でも意見を聞いてみました。忙しいのに、スミマセン!)、彼の見立てでは典型的な統合失調症ではないとのこと。
彼によると、一般的に統合失調症で目立つ症状の中心は被害的な内容の幻聴とか、関係ないものを結びつけて被害的になる被害関係妄想だそうで、ニナの場合はリアルな幻視が多く、幻視が中心になる統合失調症はむしろ例外的だそうです。あと、統合失調症だと、あんなにアクティブな厳しいトレーニングに長期間参加するのは難しいということで、まあニナのあの姿はあくまでもお話の中で・・・という感じですね。

Bswan1
(鏡が効果的、象徴的に使われています)

でも、良い映画でした。CGなんかも必要にして最小限という感じでそれが一層怖さをうまく演出していました。

Bswan2
(ウィノナ・ライダー、久しぶりに見たら・・・)

Bswan3
(ミラ・クニス、なかなか魅力的です。ナタリー・ポートマンとうまく対照的な役を演じてました。ところで、背中に大きな、たぶん羽をあしらったタトゥーをしている設定なんですが、あんな、もんもん背負ったバレリーナっているんですかね?)

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2012年1月15日 (日)

観たかった映画・DVDやっとみたよシリーズ〜「キラー・インサイド・ミー」

さて今回はノワールな映画、「キラー・インサイド・ミー」(The Killer Inside Me)です。原作は50年代のいわゆるパルプ小説で、この作者(ジム・トンプスン)の原作で映画化されたものには「ゲッタウェイ」とか「グリフターズ」など結構いい作品があります。この「キラー・インサイド・ミー」も「内なる殺人者」として邦訳が出ています。 

以下にストーリーに関する記述がありますのでご注意下さい。







さて、舞台はやはり50年代のアメリカ、西テキサスのセントラルシティという田舎町です。その町で保安官助手をしており人当たりが良いという評判のルー(ケイシー・アフレック)が主人公なのですが、彼がボスの命で売春婦のジョイス(ジェシカ・アルバ)を追い出すために彼女の家に行くところから始まります。ジョイスに殴られ、殴り返すうちにルーの内に秘めたサディズムに火が付きベルトのバックルで彼女の尻を打ち据えますが、彼女もそれで快感を得るタイプで、抜き差しならぬ関係が始まります。

その内彼女を利用して、その町を牛耳っているコンウェイ一家に復讐(幼いころ自分の罪を被ってくれた兄を、コンウェイが殺したのではという疑惑があります)することを思いつくのですが、そのコンウェイの息子を殺すのみならず彼女まで激しく殴って殺し、二人で殺し合ったように偽装します。

こうして転がり落ちるようにいくつもの殺人を繰り返し、一緒に駆け落ちまでしようとした恋人のケイト(エイミー・スタントン、すっかりオバさんぽくなった!)まで殺してしまうのですが、ケイトが唯一安らぎを与えてくれる存在であることを認めつつも「殺さなければならない」という思いに取り付かれ殺してしまうのです・・・

Kim1
この鬼畜の役を、ケイシー・アフレックが好演というか、完全に「あ、こんな奴だろうな」と思わせてしまうほどはまって演じています。一見好青年だが何を考えているのか、どこを見てるかわからないような眼差しと、ボソボソした話し方。彼の一人称で話しが進むので、逆に見ている方も、どうして彼がそんなに簡単に人を殺せるのか分からないまま話しは終わってしまいます。まあ、どうころんでもスッキリした話しではないのですがね。この突き放し感というか、一切がクリアにされないまま終わる的な描き方としては、なかなかの作品でした。「わかってしまう」クライムはたいしたものじゃないなくらいの感じですかね。

という訳で、アメリカでは評判イマイチだったようです。まあ、女性に対する暴力描写が多く、女性もそれを望んでいる的な話しでは、いい評価得られないでしょうね。ジョイス役のジェシカ・アルバもこの役で「ゴールデンラズベリー賞」の最低助演女優賞などというものをもらってしまったようで、お疲れ様でした(笑)

Kim2
そんなひどい演技じゃないのにね・・・



なお、原作を読んでいないので何とも言えないのですが、オチはちょっとどうだろう的な部分もありました。ルーが一旦精神病院的な施設に入れられ、そこから弁護士に出してもらうまではいいのですが、簡単に家まで送ってもらったり(自殺をほのめかすようなセリフもあるのですが・・・)、そこに保安官達が来る時に、重要な証人(これはちょっとバラせませんが・・・)まで同行したりとか・・・ちょっとアメリカの法的な問題というか現場の動き方が分からないので、あれれ・・・的な感じはありました・・・


見終わった後、こういうクライムものというか暴力描写ものとして、園子温さんだったらどう撮るかな?などと考えてしまいました。


園さんの「冷たい熱帯魚」は去年観た中でも結構上位ランクです。


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2012年1月13日 (金)

観たかったDVDやっとみたよシリーズ〜「トゥルー・グリット」

調子が出てきて、また3本ほどDVD借りてきました。


その中からまずは「トゥルー・グリット (True Grit) 」。
Gritとは、気骨とか不屈の精神という意味があるようで、このセリフが出たとき字幕では「不屈の男」となってました。

そう、これは西部劇です、ジョン・ウェインの「勇気ある追跡」(1969)のリメイクです、しかもコーエン兄弟、しかもしかも製作総指揮がスピルバーグです。

以下ストーリーに関する記述がありますのでご注意下さい。





父親を「ならず者(西部劇くらいしか使わない言葉ですよね)」に殺された14歳の少女が、敵を討つべく保安官を雇い、原住民居住区に他のならず者と逃げ込んだそのかたきを追っていくという話しです。

強い正義感とか、自律とか、苦難を乗り越えてタスクを達成するとか、自己犠牲とか、そして大自然が舞台とか・・・アメリカ人の好物がてんこ盛りで、しかもコーエン兄弟ならではの、乾いた・・・でもないし、まあ独特のユーモアもちりばめてあり、面白くないはずはない映画です。実際、アカデミー賞などかなりの部門でノミネートされたようです。

まあ何と言っても、俳優陣がすごいので締まるというか、それだけで美味しいですよね。

主人公の少女、マティ・ロスを助ける(雇われた?)隻眼の老保安官、ルースター・コグバーン役には、ジェフ・ブリッジス(「タッカー」「ファビュラス・ベーカー・ボーイズ」「フィッシャー・キング」「白い嵐」なんか印象的。でも「ハリウッドで最も過小評価されている俳優」No.1に選ばれたり・・・)が。
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そして、テキサスからそのならず者を追いかけていて、一緒に追跡することになるラビーフ役には、マット・デイモン(「インビクタス」が素晴らしく、「グッド・シェパード」も好演、でも「ボーン」シリーズが実ははまり役と思ってます。「コンテイジョン」も観たい!)なのですが、体重増やしてる?って感じの顔になっています。
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この二人がいいのは言うまでもないのですが、例のならず者、でも実は結構ヘタレというチェイニー役を大好きなジョシュ・ブローリンが演じてます。「ノー・カントリー」で好きになり、「アメリカン・ギャングスター」の悪徳刑事役でさらに好きになった役者さんです。そういえば「告発のとき」にも出てました。
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そしてそして、チェイニーが逃げ込んだ盗賊団の、ちょっとキャラの立った親分がバリー・ペッパー(「グリーンマイル」とか「プライベート・ライアン」)です。
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そして、主人公を演じるヘイリー・スタインフェルドの演技には脱帽するばかりです。これがデビュー作!!!

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これからが楽しみですね!




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2012年1月 9日 (月)

観ていないDVDをやっとみたよシリーズ〜「デビル」と「塔の上のラプンツェル」

3連休でDVDをちょっとまとめて観ました。

バラバラなのにもほどがありますが、「デビル」(Devil)と「塔の上のラプンツェル」(Rapunzel)というまったく毛色の違う2本を観ました。

以下に、ストーリーに関する記述がありますので、ご注意下さい。




◆「デビル」(Devil)
これまでさんざんな目に遭わされた(笑)あのナイト・シャマランが監督ではなく、制作に回った作品。「ザ・ナイト・クロニクルズ」というシリーズの第1作になるようです。
Devil1
これは、たまたま同じエレベータに乗り、そこに閉じ込められてしまった5人の男女が次々に殺されていくという密室ものなのですが、どうやらその中の一人が悪魔であるということになっていきます。彼らを助けようとする刑事も、5年ほど前に妻子をひき逃げで殺され、一時ひどいアル中になり現在断酒中といういわくつきの人物だったりします。
あまり期待せずに観た分面白かったです。シャマランの場合、途中で、「あ、もしかして・・・」という悪い予感が起こり、「その展開はやめてくれー」と願う間もなく、破綻のまま終わってしまうことがあるのですが、これはそういうことではなかったです。
オカルトなのかサスペンスなのか・・・と最初思うのですが、悪魔の介在が早い段階で自明となり、むしろトホホなオチは避けられています。まあ、幽霊オチとか宇宙人オチと同じく、悪魔なら何でもありだとも思いますが、それでも展開の仕方でうまくもっていくことも可能なんだなと思いました。
Devil2

シャマランもこの路線で、若い監督をうまく起用していって欲しいです。

 

◆「塔の上のラプンツェル」(Rapunzel)
ジョン・ラセター御大が制作総指揮のディスニーの王道アニメ。まあ「完璧」な作品です。色彩も音楽も、全てが最高の水準でしょう。
原作はグリム童話で、髪とか塔とか、性的なメタファー満載ですが、まあそこはスルーして誰でも楽しめるということで・・・
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それにしても、表情の作り方がますます素晴らしいですね、欧米のアニメは。

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